日本語に「きぇ」はないの?

Q. なぜカ行の拗音にはサ行の「しぇ」のように「きぇ」が含まれないのですか?

A. たとえば人名で「キェルケゴール」のような表記を目にすることがありますが、これについて[kʲe]のような発音を用いることは一般的にありません(「キエルケゴール」のように読まれるのが普通です)。そのため、カ行の拗音においてはエ段音の存在を認める必要はないと言うことになります。

他の拗音的な表記で、独自の音素としては認められないものとしては、以下のような例を挙げることができます。

  イェ(イェール、イェーガー):基本的に[ie]のようにしか読まれない

  ウァ(ミネルウァ):「わ」と変わらない

  ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ:バ行(バ・ビ・ブ・ベ・ボ)と変わらない

  クィ・クェ・クォ(クィック・シークェンサー・クォリティ):小書きの文字が普通の母音として実現する

 スィ:(“C”などの発音を表すのに使われることもあるが)一般的に用いない

  ニェ・ヒェ・ミェ・リェ:一般的に用いない

satoyou
  • satoyou
  • 大学教員。主に日本語学系の授業を担当しています。

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