「の」の方が話し言葉的?
2021年4月19日
Q. 「散歩/散歩するの/散歩すること」の問題に関わって、「こと」の方が公的な場面で用いられやすいと考えたのですが、これは正しいでしょうか。また、三者の役割分担はどのような研究を行うことで確認できたのでしょうか。
A. 一面で「の」は(特に多用すると)少々話し言葉的な印象を与える傾向が認められます。もっとも、「~が好きだ」など個人的なことがらとして述べる場合は、やはり「の」でないと据わりが良くないように、使い分けがなされるという事実は否定されません。
「の」・「こと」の使い分けについては渡邊(2008)などの先行研究でも指摘されており、佐藤は実際の書き言葉のデータを分析することでこれが妥当であることを裏付けるとともに、「こと」と類似の意味が名詞(散歩・破壊・排除……)にも認められることを明らかにしました。
[参考文献] 渡邊ゆかり(2008)『文補語標識「こと」「の」の意味的相違に関する研究』 渓水社.