日本語に同音異義語が多いのは音素が少ないせい?
2020年5月18日
Q. 日本語は音素の数が少ないために同音異義語が多く、伝達行為は文字で補う必要があると聞いたことがあります。こうしたことにはどのような原因があるのでしょうか。また、日本語より音素の少ない言語はあるのでしょうか。
A. 日本語に同音異義語が多数存在することの要因は、音素の多寡よりも漢語を多用することにあります。すなわち、日中両語では音韻の構造が大きく異なるため、(古い時代の)中国語では異なる発音も日本語に入るときに一つの発音に合流してしまったこと(たとえば[ip]も[ik]も区別できず[i]になってしまうなど)、それにもかかわらず漢語=先進国の言葉として非常に重用されたことが今日に至る同音異義語の氾濫を生んでいるわけです。
世界で最も音素の種類が少ないことで知られるピダハン語(ブラジル少数民族の言語)は、子音8音素・母音3音素しか持たず、日本語(子音14音素・半母音2音素・母音5音素)より遙かに少ない例として挙げられます。