ヤ行のイ段音・エ段音って?
2020年6月3日
Q. ヤ行の「い」・「え」は、ア行の「い」や「え」と同じ発音になるのでしょうか。あるいは、これらにも接近音が用いられるのでしょうか。
A. 奈良時代頃までの日本語にはヤ行のエ段音に相当する発音(恐らく[je]のようなもの)が存在していたのですが、平安時代に入ると消失し、ア行の「え」に合流しています。どうして消失に至ったかは不明ですが、これはひらがな・カタカナが成立する以前に起こったため、該当する発音を表すための仮名は存在しません。また、ヤ行のイ段音はその性質上、「い」と別物にはなりえません。こうしたことは、ヤ行に「や・ゆ・よ」3つの仮名しか認めない一般的な五十音図においてはそもそも問題にならず、現代日本語では気に留める必要もないものです。