「方言」と「言語」はどう区別するの?

Q. 沖縄の方言を日本語と同系統の別言語とする立場もある、と説明されていましたが、それ以外の関西弁や博多弁などの方言は別言語として扱われたりすることはないのでしょうか?

A. 多くの部分、国境や民族の違いと言語の違いはリンクします。それこそヒンディー語とウルドゥー語のように、異なる文字(前者はサンスクリットと同様のデーヴァナーガリー、後者はアラビア系文字)を用いている点を除けば大きな違いがなく、国(インドかパキスタンか)によって区切られていると見た方がいいような例もあるほどです。

他の例を挙げると、たとえばフランス・スペインは各々異なる王室が置かれ、その下で元来同じ言語(ラテン語)だったものがそれぞれに異なる変化を遂げてきたために、今日「フランス語」「スペイン語」と呼ばれる別の言語になっているととらえることができます。また、フランス・スペインそれぞれの国内で話されている言葉は地域によって違う部分も少なくありませんが、それらは元をたどれば一つの言語に行き着く限りフランス語ないしスペイン語の「方言」であり、別言語とは見なされません。

ただし、バスク語(バスク人の言語、ラテン語などとの系統関係は認められず)など、これらの国々の内部で話されていても周囲の言語と類縁関係が認められない、話している民族が明確に異なるといった断絶が認められるケースにおいては方言とは見なされない例もあります。日本でいえば、博多弁・関西弁は同じ日本語の方言という範疇に含まれますが、アイヌ語は明確に別系統の別言語として扱われることになります。

satoyou
  • satoyou
  • 大学教員。主に日本語学系の授業を担当しています。

コメントする