鼻濁音はなぜ衰退したの?

Q. 鼻濁音について、音楽の授業で厳しく指導された経験があるのですが、元々は日常生活でも用いられていたものなのでしょうか。また、鼻濁音が衰退しつつある原因は何でしょうか。

A. 声楽などの分野では、「美しく響かせる」といった考えから鼻濁音の使用が徹底されることがしばしばあります。音声学の専門家もおおむね「鼻濁音=日本(共通)語の本来あるべき発音のあり方」という認識ですが、実際はキー局のアナウンサーにも使用が見られなくなりつつあるなど、話し言葉においては衰退している(少なくとも、不可欠な要素とまでは見なされなくなってきている)のが現状です。このことには、TVなどのメディアの発達により鼻濁音を用いない人の発話に触れる機会が全国レベルで増えたことも関わっていると考えられます。

satoyou
  • satoyou
  • 大学教員。主に日本語学系の授業を担当しています。

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