月: 2020年5月

日本語に同音異義語が多いのは音素が少ないせい?

Q. 日本語は音素の数が少ないために同音異義語が多く、伝達行為は文字で補う必要があると聞いたことがあります。こうしたことにはどのような原因があるのでしょうか。また、日本語より音素の少ない言語はあるのでしょうか。 A. 日本語に同音異義語が多数存在することの要因は、音素の多寡よりも漢語を多用することに…
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「き」などの発音が普通と違う人がいるのはなぜ?

Q. 「き」・「ち」・「り」などの発音が通常と異なる人がいますが、これはどのような理由で起こっているのでしょうか。 A. 一部のイ段音、特に「き」「ぎ」「し」「じ」「ち」「ひ」や「り」などは、人によって典型とは異なる発音をする例がしばしば見受けられます。これは舌が上顎(硬口蓋)に密着してしまい、口の…
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日本語の古い発音は何からわかるの?

Q. 「火事」の「火」は古い日本語では合拗音「くゎ」で発音していたと言われているようですが、このことは何からわかるのでしょうか。 A. 古くかな表記で「くわ」と書かれていた例の多くは、いわゆるキリシタン資料で“qa”と書かれていることから、少なくとも室町時代末期の時点の標準的な発音は「くゎ」であった…
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硬口蓋化と硬口蓋音はどう違うの?

Q. 「硬口蓋化した軟口蓋破裂音」と、「硬口蓋破裂音」の違いは何でしょうか? A. 硬口蓋化とは、本来硬口蓋を調音点として持たない子音において、その調音の際に舌の前面が硬口蓋に向かって盛り上がる変化のことを指します。の例で言えば、舌の後ろ側は大きく盛り上がって軟口蓋に密着し、同時に舌の前面も硬口蓋に…
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日本語に「きぇ」はないの?

Q. なぜカ行の拗音にはサ行の「しぇ」のように「きぇ」が含まれないのですか? A. たとえば人名で「キェルケゴール」のような表記を目にすることがありますが、これについてのような発音を用いることは一般的にありません(「キエルケゴール」のように読まれるのが普通です)。そのため、カ行の拗音においてはエ段音…
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鼻濁音はなぜ衰退したの?

Q. 鼻濁音について、音楽の授業で厳しく指導された経験があるのですが、元々は日常生活でも用いられていたものなのでしょうか。また、鼻濁音が衰退しつつある原因は何でしょうか。 A. 声楽などの分野では、「美しく響かせる」といった考えから鼻濁音の使用が徹底されることがしばしばあります。音声学の専門家もおお…
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子音の硬口蓋化って何?

Q. カ行子音として、と、が認められるということでしたが、これら(「軟口蓋破裂音」と、「硬口蓋化した軟口蓋破裂音」)の違いは何でしょうか。 A. 硬口蓋化とは、舌の前側が上あごの硬い部分(硬口蓋)に向かって盛り上がる子音の変化を意味します。これにより、同じく舌の前側が盛り上がった状態で発音される母音…
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音素の設定基準は何?

Q. たとえば[ɾo]と[lo]のように、「音は違うが、同じ音素にまとめられる」とされるものは、何を基準にしているのでしょうか。 A. このあたりは言語ごとに、慣習によって定まっていると言うほかありません。たとえば日本語のみの話者には区別できない音として、とといったものがありますが、英語では"lig…
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ひそひそ声は無声音?

Q. 喉に手をあてて震えるか震えないかで有声音無性音かの判断がつくとのことでしたが、ひそひそ話で話すときはどの音を話しても喉が震えないので同じ文字でも無声音と言えるのでしょうか。 A. お察しのとおり、ひそひそと話す際にはすべての音が無声音として実現することになります。これはIPA表記においては、す…
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モーラって多言語に適用できるの?

Q. 音節やモーラといった概念は、日本語以外の言語についても用いられるのでしょうか。また、これを知っていることは日本人が外国語を学ぶ際などに有利に働くのでしょうか。 A. 「音節」という概念は様々な言語について用いられますが、「モーラ(拍)」は開音節言語との親和性が高い概念であり、閉音節言語に関して…
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