日本語に「祖語」はある?

Q. 日本語は祖語がない、という言い方は適切でしょうか。日本語を祖語とした言語が(琉球語を除き)ないということですが、日本語を『祖語』と呼ぶことはあるのでしょうか。

A. 祖語とはたとえばフランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語にとってのラテン語のように、複数の言語に分岐する以前の前身にあたる言語を指して言います。

一例として、英語はゲルマン祖語(ドイツ語などと枝分かれする以前の言語)を祖語に持つと考えられますが、そこから枝分かれした後の言語は、今より古いもの(たとえば5-12世紀の古英語)については「古語」とは呼べても「祖語」とは呼べないということになります。

日本語については、琉球語を別言語と考える立場からは日本語・琉球語の祖語である「日本祖語」の存在を想定することができます。一方、沖縄の言葉を日本語の一方言とする立場では、本土方言と沖縄方言が分岐する以前の言語は日本語の「古語」であって「日本祖語」ではないと考えることになります。

もっとも、日本語とそれ以外の言語との間に共通した祖語が存在したと考えられる余地が皆無というわけではなく、たとえば7世紀に滅びた高句麗語は断片的な資料しか残っていないものの、日本語との間に一定の音韻対応を認めることができるとしばしば言われます。すなわち、日本語に祖語自体が存在しなかったと断言することはできないのが現状です。

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