翻訳による受身文の変容はもう起こらない?

Q. ニヨッテ受身文は欧米語からの翻訳に由来して用いられるようになったとのことですが、これらのように日本語で元々用いられなかったタイプの受身文が用いられるようになるなど、文のあり方が変容することは今後も起こりうるのでしょうか。

A. 文構造のあり方が大きく変容する例ではありませんが、「行動を取る」(cf. “take action”)「~の見地からすれば」(cf. “from ~’s point of view”)など、様々な表現が欧文翻訳によって生じたと考えられています。また、より古くは漢文訓読において日本語の書き言葉における表現の幅が広がった歴史もあり、総じて外国語との接触が言語に変化をもたらすという事実が指摘できます。

今後も日本語話者にとってなじみの薄かった言語との接触が強まったとき、それらからの翻訳によって新たな表現や構文が生み出される可能性は決して否定できるものではありません。

satoyou
  • satoyou
  • 大学教員。主に日本語学系の授業を担当しています。

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