子音の硬口蓋化って何?
2020年5月18日
Q. カ行子音として、[k]と、[kʲ]が認められるということでしたが、これら(「軟口蓋破裂音」と、「硬口蓋化した軟口蓋破裂音」)の違いは何でしょうか。
A. 硬口蓋化とは、舌の前側が上あごの硬い部分(硬口蓋)に向かって盛り上がる子音の変化を意味します。これにより、同じく舌の前側が盛り上がった状態で発音される母音[i]がスムーズに発音できる(というより、これが起こっていないと[i]に繋げることが現実的には難しい子音が多い)というのが、硬口蓋化が起こる主要因と考えることができます。
何らかの子音が硬口蓋化するとき、その子音自体の調音点とは無関係に、舌が硬口蓋に接近する=硬口蓋接近音(ヤ行の半母音)と同じ形を取るということになります。これは一種の二重調音と呼ぶべき状態であり、硬口蓋化していない子音とは明確に別の音として区別されることになります(実際のところ、たとえば[ka]と[kʲa]では母音が同じでも明らかに別の発音になります)。
なお、硬口蓋化は硬口蓋を調音点として利用する子音(歯茎硬口蓋摩擦音、硬口蓋摩擦音など)においては起こりえない(というより硬口蓋化の有無を区別しようがない)ということになります。