Q. 共時態の研究において用例を用いることについて、本を書いた人の言葉が必ずしも正しいとは限らないように思えます。 A. 特定個人に限らず、複数の第三者、ましてプロの書き手が使っている(いない)表現であれば、日本語として正しい(正しくない)という判断の材料にすることは妥当と考えられます。一方、様々見…
Q. 通時態という概念がもうひとつよくわかりません。時代ごとの共時態を比較するということとはどう違うのでしょうか。 A. もちろん時代ごと(奈良・平安・鎌倉……)の共時態を比較する作業も不可欠にはなりますが、通時態はそうしたことを目的としたものではなく、それを手段として、当該言語が経てきた変化の実態…
Q. 内省が働くのに、日本語の誤用が起こり、それがやがて定着してしまうのはなぜなのでしょうか。 A. 内省(言語感覚)は、すべて画一的に教授され身につけられるような性質のものではありません。国語教育は正しい言語感覚を育てることを一つの目標としていますが、限られた時間の中で日本語のあるべき姿をすべてく…
Q. 役割語は、日本語以外の言語にも存在するのでしょうか。役割語を有しない言語などもあるのでしょうか。 A. 日本語以外でも、たとえば年配の人物がより古い言葉を(実際以上に)多用する、英語においては「ハリー・ポッター」シリーズのドビーが“Dobby wanted…”と言うように自分自身の名前を文の主…